青山美智子さんに会う

お客様から本の感想を聞くと幸せな気持ちになる。本の良かったところや感想だけではなく、大抵、自分の経験や人生の話が混じっている。本が読者の人生に深く関わっていることを実感する。お客様の人生を垣間見ることにもやりがいを感じる。私が薄々感じているのは、小説の登場人物と読者は大まか似ていることだ。優しさや、弱さとか、志とか、失敗から立ち上がるところ、できているできていないではなく、そう成ろうと目指している姿勢が同じに見える。
特にそう思うのは、青山美智子さんの本だ。どんなところに共感したのか、なぜそこに共感したのか、体験談を聞いていると登場人物となんら変わらないのである。物語の中にその人がいても違和感がないくらい。ちょっと不器用だけど、自分も人に優しくしたいと願っている人ばかりである。私は本を読んで心が洗われて、お客様の簡素を聞いてまた心が洗われている。なんと有り難いことか。
今日、青山美智子さんとお話する機会があった。10月に発売された新刊「海辺のエール」は、KADOKAWAさんのオファーから7年かかって漸く生み出せたとエピソードを聞いた。青山さんはKADOKAWAさんから初めて出版された。7年も待ち続けた編集者さんの想いに感動した。絶対出したいと耐えたのだろう。そして青山さんも、この担当者、この編集長と一緒に本を作りたいと願ってその時期を待ったそうだ。3人の強い絆を感じる。
そうして生まれたのが「海辺のエール」である。せっかくお会いするので感想の一も青山さんに伝えようとコメントを考えていたが、青山さんが読者さんを生で見れる書店さんがうらやましい、わたしも読者と触れたいとおっしゃったので、私の感想ではなく読者の様子を伝えることにした。私は青山さんにこう伝えた。
「青山さんの本を読んでいる方は、みんな優しい人ばかりです。青山さんの本、たくさん感想をいただけるんです。こんな嬉しいことありません。私で止めておくのはもったいない。ぜんぶ伝たえたいのですがそうもできず残念です」と。 青山さん、即こう言われました。「ちゃんと私のところまで届いてます。見れなくてもちゃんと届いてますよ」
安心した。嬉しかった。挨拶をすませて、店の外に出てから涙をこぼした。上を向いたほうがいいと思った。冬らしい月が綺麗に見えた。眺めながら考えた。青山さんが「ちゃんと届いてます」と言ったのは、SNSやブログで読者の投稿を見て知ってますという意味ではないはずだ。想像でもない、直感でもない、きっと繋がっているということだと思う。
作者、担当者、編集長、3人から本ができるまでのエピソードを聞いて一冊の本の重みが増した。書店の役割も重くなった。命がけで生まれた宝物を大切に読者に届けたい。AIに振り回されず自信をもって紹介するだけでいい。早く仕事に戻りたくなった。そして今ブログを書いている。今日起きたことを書くのは珍しい。
ここに書ききれなかったことは直接お話させていただきます。新刊「海辺のエール」おもしろいエピソードがあるんですよ。
byこんぶ店長


