またかな

先日、島根県益田市で出張販売がありました。出張販売とは、講演会の会場で講師の方の書籍を販売することです。

この日は、永松茂久さんの講演でした。その帰り道にちょっとした出会いがありましたので書かせていただきます。

益田市から山陰道経由で浜田道、そして中国自動車道を通るルートです。あいにくの雨で見通しが悪く、安全第一でいつもよりゆっくり走っていたのですが、それはそれで退屈で途中何度もサービスエリアに立ち寄りました。トイレに行くわけでもお土産を買うわけでもなく、ほぼ眠気覚ましにしていました。広島を抜け、岡山を抜け、ようやく兵庫県へ、知ってる地名の標識が見えると安心します。眠気を避けるために夕食を取っていなかったのですが、「もう食べてもいい」と許可を出し加西サービスエリアに立ち寄りました。すると・・

ヒッチハイクをしている二人に遭遇しました。雨は止みかけていましたが深夜です。もし車を拾えなかったらと思うと心配になり声を掛けました。見ればわかるので「ヒッチハイクをしているのですか?」と言わず、「二人、行先が違うのですか?」と尋ねました。すると苦笑いしながら、「大阪でも神戸でもどちらでもいい」と。

最終目的地と、今日のうちにどこまで行きたいかを確認し、尼崎まで送ることになりました。二人は、ヒッチハイクするのは2回目で「学生の間に旅したい」「出会うはずのない人に出会えるのが楽しいからヒッチハイクを選んだ」など道中話してくれました。そして、運転手さんの仕事のお話を聞かせてくださいとリクエストもいただきました。本屋をしていることを簡単に説明し、なぜ私が二人を車に乗せたかをお話しました。

喜多川泰さんの本「また、必ず会おうと誰もが言った」に理由があります。

主人公は熊本に住む高校二年生、和也。秋に行く修学旅行のことを同級生が話題にしていたが、和也は興味を示さなかった。

和也は楽しみじゃなかと?と言われ、咄嗟に行ったことあると言ってしまった。写真の一つくらいあるだろ、見せろよと問い詰められて証拠写真を撮るために一人でディズニーランドに行くことになった。その帰り、予定していた時間に空港行きのバスに乗ったが渋滞に巻き込まれ飛行機に乗り遅れた。所持金は3400円。親には博多に大学の下見に行くと言って出てきたので助けを求めることもできず、ヒッチハイクで帰ることに。

この小説の影響を受け、ヒッチハイクを始めたひとが当店のお客様の中に少なくとも3人います。皆、その時のエピソードを本屋で語ってくれます。どれもドラマチックでその話で何度も盛り上がれます。内容は割愛しますが、私は聞くたびに自分もヒッチハイクをしてみたい…と思わないのですが、もし自分が車を運転しているときに遭遇したら乗せようと決めていたのです。そう思ってから何年も経ちましたが、ついにその日が来たというわけです。

加西サービスエリアで乗せた二人に「また、必ず会おうと誰もが言った」の話をしました。その影響を受けてヒッチハイクをした人がいることも、そしてエピソードも。二人は本に興味を持ちました。日頃、熱心に読書している様子ではないが、親の誕生日に本を贈ったり、本屋で本を選ぶのが楽しいと聞いて私も嬉しくなりました。それで本屋に寄って二人に本を贈ろうと思い立ちました。

出会ってからお別れまで2時間ちょっとだったと思います。僅かな時間でしたが、「出会うはずのない人に出会えるのが楽しい」という二人の言葉がこだまして長距離運転の疲れを吹っ飛ばしてくれました。

行先は、新潟か、長野か、可能ならもっと北までと言っておられましたが、今頃、どの辺を旅しているのでしょう。どうぞ楽しんできてください。そしてくれぐれも安全に。またかな!

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