宝ものを手にする
突如、もう一度あの本を読み返したい衝動に駆られる。
去年、読んだ本かもしれないし、10年前の本かもしれない。
内容を覚えてない本かもしれないし、
何度も読んだ本かもしれない。
それは無性にカレーライスが食べたくなるように
不意に襲ってくる。
今、手元にあるとは限らない。
むしろ手元にないからこそ読みたくなる。
そんな時、Amazonで中古本を探す。
読みたい衝動には勝てない。
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中谷彰宏著 タヒチで君のことを考えた。
1994年12月5日初版。
28年前に読んだこの本を何度も読み返したくなる。
何冊も買ったのに手元にないのが不思議だ。
まだ本屋に就いてない、本を読む習慣がなかった時に買ってしまった本。
その日のことをよく覚えている。
CDを買うつもりで入ったお店、入ってすぐの新刊コーナーに平積みされていた。
表紙を見て欲しいと思った。
中谷彰宏も知らず、目次も見ず買った。
今なら1時間かからず読める本を、4日間かけて読んだ。
そして本を閉じたあと、必ずタヒチに行こうと誓った。
その衝動は今もつづいている。
つまり行ってない証拠でもあるが。
あれだけ誓ったのにまだ行けてない、とは思わない。
どこにあるかもわからない国のことを28年憧れていた、
それだけで幸せだとおもう。
子どもの頃は読書が嫌いだった。
1冊最後まで読めなかった。
本屋に就くまでは本を読む習慣がなかったけど
読んでいてよかった数少ない本。
「タヒチで君のこと考えた」
わたしの宝ものである。
かつて私から旅立った本も誰かの宝ものになると嬉しい。
こんぶ