「 100点以上をめざす 」


立命館宇治高等学校で授業をさせていただきました。1年間の海外留学を終えて帰国した2年生のクラス、「新たな出会いや経験を通して自らの志を立てること」を目的としたものでした。ご期待に応えられるかは疑問ですが、本屋に馴染みがないであろう高校生に読書の魅力を知ってもらうチャンスです。長年、当店を利用してくださってる先生からのご依頼ということもあり、喜んで引き受けました。

生徒たちが「本読みなさいって言われたみいで説教臭かった」とならないように高校生の心境を想像して授業の内容を考えました。過去、学校で授業をさせていただいたとき、ずっと下を向いてる子、寝る子、話を聞かない子、必ずいました。私も学生時代はそのタイプだったので何も言えませんが、前に立つ以上、ひとりでも伝わるように、ひとつでも言葉が残るように話したいものです。行ってみないと教室の雰囲気はわかりませんが、心配は無用だったことがすぐにわかりました。クラス全員が目をキラキラさせて聞いてくれたのです。先生の指導が行き届いているからではなく、表情から好奇心を持って聞いてくれているのがわかります。こんなクラスが、こんな高校生が存在するんだといい意味でカルチャーショックでした。そのことを先生に伝えたら、「みんな可愛いんです。だから私も毎日楽しいし、ついあれこれしてあげたくなるんです」とさらっと言われました。

 授業でこんな話をしました。「今まではテスト100点を目指していたと思うけど、社会に出たら、働くようになったら、120点、150点、200点を目指さなきゃいけないんだよ。言われたことだけをやるならAIがやってくれます。自分が必要とされるためには頼まれたこと以上のことをやらなければならない。100点以上のものって、自分の工夫や付加価値、他の人がやらないこと、相手が期待する以上のこと、それを教えてくれる教科書はありません。自分で考える、自分で決めて動く、想像して、創造する、今のうちからその練習をしておきましょう。」

 
そして、自分だけの視点や自分なりの答えを持つ練習になる本として、「13歳からのハローワーク」(末永幸歩/著)を紹介しました。授業が終わってから、男の子3人が勢いよく私のほうに来て「この本、家にあります」と教えてくれました。3人も知っている子がいることに驚きましたが、その本はお父様のものであり、親が何を読んでいるか知っていることが素晴らしいと思いました。日頃からコミュニケーション取れているのでしょう。家族内で本の話題があるのでしょう。ある女の子からは「私、中学のときから本が好きで汐見夏衛さんの本ぜんぶ持ってるんです」とか「私も本が好きで、今、この本読んでます」と言って鞄から本を出して見せてくれました。みんな生き生きしている。しがない本屋の店主を喜ばせた、君たちはもう100点以上だよ!

帰りの電車、ひとり笑みがこぼれていたと思います。こんなクラスならまた話したい、本ももっと紹介したい、また会いたいと頭の中でこだましていました。老若男女に本を読む習慣を持ってほしいと願っています。それ以上に、自分で考えて、自分で決める、その力を持ってほしいと願っています。そのために当店オリジナル「生産的読書ノート」を作りました。11月24日(日)朝10時~11時30分、店内にて「生産的読書ノート体験会」をおこないます。読書ノートの使い方をご説明させていただき、実際に書いていただきます。ご興味ある方はお申込みくださいませ。参加費無料です。

byこんぶ店長

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